なおやんの 手記手記 しゅっき〜

なおやんの 手記手記 しゅっき~

痛みに耐えて よく頑張った

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ケンミンショーの取材を受けた話

出会いは突然に

12月29日 この日は難波で忘年会

その前々日から家に帰っていないので家族に土産でも買って帰ろうかなと思い、なんばウォークにある、食パンが有名なパン屋さんに向かうことに

 

着くと店頭には4種類ほどの食パンが並べられていた

1斤600円〜1,000円程 幅がある

適当に買おうと思ってふらっと店まで来たものの、こう何種類も並べられると、おそらくこの中に「正解」が潜んでいるのだろうなと思ってしまう

一旦店の横のスペースに退いて口コミを検索

口コミを信仰しすぎる現代人に反感を抱く一方、結局自分もその渦から抜け出せんのよな〜とか思いながらスマホをポツポツやっていると

 

「あのーすいません ケンミンショーの取材なんですけど」

男の声

付近には自分しかいないので明らかに自分に声がかかっている

 

声の方向を見ると、中村佳穂みたいな見た目のサブカルチックな女(彼女自体は素晴らしいアーティストです)と、どこにでもいそうな顔すぎるちょっと背の高い汎用型の男がいた

2人とも年齢は20代に見える

 

うお ケンミンショーやん

黒光り淫乱猿と創価学会の女がMCを務め、都道府県ネタに対してそこに住む県民全員が首をひねる情報大捏造番組 大好きです

黒淫猿が退いて片玉チビになってから見てないけど、大好きです

 

「今ですね、街なかの人に声をかけて、各都道府県のあるあるネタを集めてて・・・」

 

姿勢を正す

やっとインタビューに答えられる日が来た やっと

 

阿波踊りの記憶

以前にもテレビに映ったことはある

サンデーモーニングからお笑い要素を抜いたクソ番組「バイキング」で抜かれてしまった

 

 

当時は阿波踊りが市と観光協会のゴタゴタにより、阿波踊りのクライマックスである”総踊り”を街中でやってしまうというちょっとした騒ぎがあった

ちょうどその日にその騒ぎの付近にいたものの、全く踊りが見えなくてつまらない上に割と酔っていたので、気違いみたいにそのへんでクネクネと踊っていたら

「中には、一緒に踊る人まで!」

みたいに、”総踊りに触発されて踊っちゃったお茶目な人”みたいに報道され、「な〜んか偉いさん同士で揉めてますけど楽しくやりましょうよ〜!」みたいな馬鹿な一般人代表にされてしまった

エゲつない名誉毀損である 親戚に徳島新聞の人間もいる 割とこの問題に対しては能天気な考えなんてもっていられなかったそんな私が・・・

 

次にテレビに映るときは、きちんと自分の意思を表明し、変なフィルターにかけられることなくその意見を世の中に届けたい

そう思うようになった

 

リベンジ 

 さあ映してくれ 俺を 等身大の俺を

 

しかし違和感があった

カメラがないのである 2人とも報道というものを舐め腐ったような軽装である

 

「すみません、口頭でのアンケートにはなるんですけど・・・」

 

は 映せや

てかこのコロナ禍で対面アンケートやっちゃうのもわけわからんし、回答が欲しいなら楽天インサイトにでも外注しろや 

昭和の証券会社の飛び込み営業みたいなことやらされてんのか?俺もう帰ろうかな 急に溢れる文句

しかし冷静に考えて帰る場所もないし、逃げたところですぐ隣のパン屋に行くしかないのである

ちょっと失礼・・・と言って逃げた奴がすぐ横のパン屋に並び出すのはさすがにダサい

そして、県民あるある、ちょっと答えてみたいのである

カメラがない不満はあっさり吹き飛び、奈良県民であることを告げ、ウキウキで彼らに向き直った

 

さあ渾身のあるあるをぶつけるぞー と思ったけども、唐突にこういうのが来たところで県民あるあるって意外と思いつかない

 

女のほうが言う

「他の奈良県の方だと『鹿がどこにでもいるわけじゃない』とかおっしゃってましたよ」

うわ引くほどおもんな あるあるとかいう次元なんかそれは

自分が何も思いつかない癖に他人の回答にケチつけるのは論外

しかしそれでも馬鹿にせずにはいられない

 

 

うーん なにかあるかな

 

あ、不意に思い出す

あるあるじゃないけど、時間稼ぎついでにケンミンショーに言っておかないといけないことがあった

 

ツイッター奈良県愛の強い人間を多くフォローしているので、その界隈でケンミンショーが炎上したことがあった

それは、奈良県自慢と題し、県民に奈良の自慢を聞くコーナーにおいて、ツイッター上では実際にインタビューに答えた人、また知り合いが自慢を長々と語ったという人が一定数いたのであるが、それは全カットされ、「奈良には何もない」という地元を貶める県民の言葉しか放送されなかったのである

実際にその放送は見ていなかったのだが、ツイッター上の荒れ具合はすごかった

 

blog.goo.ne.jp

 ↑このブログが参考になる

 

奈良県民は自虐気味である という結論に持っていくためにそういう切り取り方をしないといけなかったのであろうが、県民としてはかなり気分が悪い

そのせいで奈良の観光消費が落ち込んだらどう責任を取ってくれるのか

お前らが地方交付税を負担してくれるのか

食パンと同じで、現代は口コミや伝聞が全てなのである

 

今後そういうのはやめてくださいね と冗談ぽくそれを伝える

俺も相手もニコニコしているが、こちらの内心は全く笑っていない マジで今後やめろよ

 

 

と、どうでも良いことを伝え、それでもやっぱりなかなか思いつかないので雑談タイムに入る

 

俺の仕事を聞かれたので、

「公共交通関係の仕事を・・・」と答えると、男の方が

「僕、この仕事の前は電車のブレーキ作ってたんですよ!」と言う

「へえ〜そんな仕事 すごいですやん!それで今のテレビ局に?」と聞くと

「まあ そういう感じですね」と

俺みたいに鉄道関係→鉄道関係 もあれば、鉄道関係→テレビ局 なんて華麗な転身を遂げた人もいるんだなと思う 頑張ってほしいな

 

 

そんなこんなでいたずらに時が流れ

たどり着いた答えは

 

「吉野の人間は、吉野山の桜以外は全てパチモノだと思ってます 吉野山のは野生なんで」

 

ああ 吐くほどおもんない

でも限られた時間ではこれが精一杯 よく頑張った

あとはこれがどう放送に反映されるのか

 

大前提

まあひどい回答やけどこんなもんでいいかと思い、その場を立ち去ろうとする

 

「あ、ちょっとまってください」

 

男の方が俺を呼び止める

なんやろか 謝礼金?こんなアンケートを外注する金もないのに?

 

 

 

「実はケンミンショーではなくて・・・」

 

 

???

 

 

「僕たち、月に何度かパーティーを開いてまして、そこで県民あるあるを披露するためにこうやってアンケートを・・・」

 

 

???

 

 

「これ、パーティーの写真です!こうやってお菓子を持ち寄って・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はなぜパン屋に並ぶ食パンを見て、どれを購入するかを悩んだのか

それは、食パンには種類ごとに値段が決められており、それらを入手するには記載された値段分の貨幣を差し出さなければいけなかったからである

ここでは大前提として

・貨幣は交換機能を有している

・貨幣の価値は短時間で大きく変動しない

というものがある

この前提が揺らぐ可能性があるならば、貨幣の価値が落ちる前にさっさと適当に食パンを買っていたかもしれないし、そもそも貨幣と食パンを交換してもらえるかどうかを調べるという手間を挟んでいたかもしれない

 

このように、世の中には「大前提」というものがある

 

 

20代の男女が

「パーティーで県民あるあるを披露したいんでアンケートしてます」

と言って近付いてきたら、それは明らかに不審で気味が悪いし、ひょっとすると答えずに逃げてしまうかもしれない

しかし、「ケンミンショーの取材」という大前提を背負っていたので、信用した上に、意気込んでまで答えたのである

 

 

力が抜けそうになる

ケンミンショーで取り扱われると思って頭をひねって考え出したあるあるネタ、そしてケンミンショーに対する真剣な要望 あれらはなんだったのだろうか

こちらも「基本的人権の尊重」という日本国の大前提をブチ崩して彼らを引きずり回してやろうか

 

 

 

男のほうはそんな俺の様子にも気付かず、パーティーの様子を見せるべくスマホの画面をスライドさせる

シュッシュッシュッシュッ

倫理観のタガが外れた暴走機関車の音がする

もう彼は止まらない

人として超えてはいけない、停車すべきラインはとうに過ぎ去っている

お前が携わったブレーキを搭載した電車が本当に日本に走っているならば

明日から電車に乗るのはやめようと思う

いつ南海電車高島屋を突き破りアメ村の三角公園まで達するかわからない

 

 

 

さすがに気持ち悪いので、適当にあしらい、立ち去ることに

色々な感情が渦巻いていた

しかしそれらを全て噛み殺し、口から絞り出す

「よいお年を」

 

 

 

彼らが真っ当なレールを進めるような そんな2021年を祈願して