なおやんの 手記手記 しゅっき〜

なおやんの 手記手記 しゅっき~

痛みに耐えて よく頑張った

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寄稿「私は宇宙人に記憶を消された」

ブログのネタが思いつかなくなったら寄稿に限る

今日は高校の部活の友人より、宇宙人に記憶を消された話

実は寄稿でもなんでもなく、面白かったからパクらせてもらっただけ

彼女には、あなたもブログを初めてくださいと何度も懇願している

壮大な陰謀論を含んだ恐ろしい話なのに日常を切り取ったエッセイ風の文体なのが阿呆らしくていいなとおもう

 

 

”先日、ふとなにかこの世の真理のようなことが急に分かったけど、それはもう二度と思い出せなかった。おそらく私がそのことについて証拠を残す前に何者かによって抹消されてしまったのだ。
この世の真理なんかが分かってしまうと、都合の悪いことがたくさん浮き彫りになってみんながこの世から逃亡してしまうから。そんなことはさせられないと何者かが私の脳に勝手に忍び込んで記憶を消したらしい。

 

私は宇宙人に記憶を消されたこともある。あれは大学生の頃、バイトに車で向かっているところ、正面の空に2つの白い物体が微動だにせず浮かんでいるのを見た。私はUFOだと思った。恐ろしい。あんなに堂々と現れてもいいものか。これはメディアに言うべきなのでは?他の人にもこれが見えているのか?バイト先の人に確認しよう。記憶はここまで。
このことを思い出すのはおよそ1年後となる。最初は以前こんな夢を見たような気がするといった感覚であり、次第に自分が実際に体験したことだと確信を持てるほどにリアルに思い出した。
絶対に宇宙人に記憶を操作された。私は悔しくなった。

 

私の実体験からすると記憶抹消の効果は1年間らしい。ただし、これは宇宙人による記憶操作であり、今回のこの世の真理に関しては、誰の手によるものか検討もつかない。きっと何年後かに思い出せると信じている。”

 

 

記憶の喪失というのは恐ろしいものであり、奥深いテーマである

それはいとも簡単に日常を崩壊させる現象であるにも関わらず、完全に非日常の世界に佇んでいるわけでもない

 

ちなみに自分は酒に酔って記憶を無くしたことはない

もともとそんなに飲むような人間ではない上に、記憶を無くすことへの恐怖心があるのもその要因かもしれない

 

 

 

さて記憶の喪失について考える上で、面白い話がある

「5億年ボタン」という話である

 

www.youtube.com

 

話を要約すると、

金欠に悩む主人公に、「一瞬で100万円を稼げるバイトがある」と、あるボタンが差し出される

これを押すと

①何もない異空間に飛ばされ、眠る事も出来ない不老不死となり5億年過ごす
②その後、ボタンを押した瞬間に戻される
③5億年間の記憶が消される
④報酬として100万円が手に入る

 

主人公は金に目がくらんで押してしまうが、地獄の5億年を過ごす

そして5億年耐え抜くと、その5億年分の記憶は全て消去されるので、主人公は本当になにもせず100万円が入ったと思い込み、ボタンを連打してしまうというオチ

 

 

この話を読んだときに当然湧き上がる疑問が、「自分ならこのボタンを押すだろうか」というものである

いくら100万円をもらえるからといって5億年なにもない空間で過ごせるだろうか

 

いやいや、5億年なんてとんでもないと思う人

はたまた、タダでもいいから身の安全が保証された空間で5億年ぼーっとしてみたいという人もいるかもしれない

ただ、直感的に考えたとき、このボタンは押さないと考える人がほとんどであると思われる

 

しかしもう少しだけ考えてみると、この議論をよりややこしくさせる要素に突き当たる

それは「主人公は現実に戻ったとき、5億年分の記憶が消える」ということである

記憶が消えるというのは、一体どういうことを示すのか

 

この世界の時間の進み方は以下の二通りあると言われている

・Chronos(クロノス)

・Kairos(カイロス

クロノスとは過去から未来へと一定速度・一定方向で機械的に流れる連続した時間であり、客観的な時間の流れ

カイロスとは人間の主観的な時間の流れを表すとされている

例えば、クロノスでは1時間の経過を示していても、カイロスではつまらない授業を受けている学生の1時間と、恋人とデートを楽しむ男の1時間では時間の流れの早さが違うものになる

ここで、先ほどの5億年ボタンについて、これらの視点から考えてみる 

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クロノス的時間もカイロス的時間も、ボタンを押して5億年を過ごした後に100万円を受け取っている

もちろん、時間の流れ方は両者で違っており、カイロス的時間での5億年は10億年くらいに引き伸ばされるのかもしれない

ただ、大まかな流れはどちらも同じようなものである

 

そして、ここに記憶喪失の要素を加えると

 

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このように、ボタンを押す、100万円を受け取る、の間に「5億年分の記憶が消える」といった新しい要素が加わる

これにより、クロノス的時間の5億年分に対応するカイロス的時間が消失してしまうのである

 

ここで重要なのは、この飛ばされたカイロス的時間の5億年をどのように扱うかということになる

意見の異なるAとBの考えを見てみる

 

A「記憶を消されても、5億年を体験して発狂する自分は確かに存在するのであり、ボタンは押したくない。ただ、記憶を消されることによりボタンを連打してしまうかもしれない可能性がある。そのような観点から記憶喪失を恐ろしいと感じる。また、5億年を体験したという記憶を無くしてしまうのも惜しい。」

 

B「消えた記憶に生きる自分はもはや別人格である。どうでも良い。論点は、ボタンの連打を親指の腹で地道に叩くのか、それとも爪でカチャカチャするかということである(下図参照)。」

 

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グーグル画像検索より 爪汚な

 

ちなみにBは俺の意見がそのまま反映されている

高橋名人くらいボタンを連打するのが正解であると考える

 

おそらくAの考えを持つ人の記憶喪失の考えはこうである

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まずなにかを体験し、その後それらの記憶の上に布を被せて”無かったこと”にするというものである

確かにこの考えだと、5億年を体験した自分は確かに存在することになる

 

 

ただ、自分は下図のように考えている

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これはもはや記憶喪失でもなんでもなく、”乗っ取られ”

そもそも、自分の体が自分のものであるなんて傲慢な考えなのである

日本の人口動態や経済状況の変化により進むシェアリングエコノミーの波の中、どうして自分の体においてもそれと似た状況が発生していると気付かないのであろうか

社会主義国家の土地所有制度のごとく、我々の体もなにか巨大な組織に支配されているのである

 

そう考えると、5億年ボタンなんてものは他人が5億年の苦しみを味わっているだけで自分は何も苦しまずに100万円がもらえるので、これは押さないわけがないのである

 

この考えで冒頭の寄稿文に戻ると、彼女は記憶を失ったのではなく、その時間に別人格に切り替わったのだと思われる

宇宙人と接触する用のアカウントが呼び出されたのかもしれない

1年後に不意に思い出したのは、何かのトリガーにより別人格の記憶が一瞬作用したのではないか

”彼女の人格”としては、UFOも見ていないし宇宙人には会っていないのかもしれない

 

 

以上のように記憶喪失というのは恐ろしい現象である

お酒飲みすぎて記憶失くしちゃった〜と若干の自慢を帯びたその言葉の裏ではとんでもないことが起こっているに違いない

そのままの人格には到底見せることができない、身の毛もよだつようなことが

 

 

大阪の京橋でいつものように飲み倒すあなた

そして記憶を失う0コンマ数秒前に視界の隅を横切った、京橋地区に10万人くらいいそうな髭面の汚い老翁

 

それは、死んだはずのサダム・フセイン閣下であったのかもしれない