赤信号の残りカウントについて
この前、平日になんばで飲み会があった
自分は一旦家に帰って着替えてから飲み会に行きたいタイプなので、いそいそと家へ帰ってたらもう飲み会はスタートしてると連絡がきて焦る
慌てて地下鉄に飛び乗りなんばで降り、店まであと50mとなった地点にあったのが、このカウント式信号機であった
残りメーターは5くらいで、早く飲み会会場へたどり着きたい俺は苛立ちから試合前のヴァンダレイ・シウバのごとく手首をクルクルと回転させ始める
やっとのことでメーターが残り1になり、体が否応なしに前傾姿勢になり始めたのだが、ここからなかなか青信号へ切り替わらないのである
残りカウントが1になったことによる期待と焦りによるものかもしれないが、それまでのカウントよりも1カウントあたりの時間が長かった気すらする
これは一体なんなのだろうか 信号の待ち時間すらエンターテインメントに変えたいというオリエンタルランド気取りの設計者がいたのか
実際に残りカウント1で”タメ”を作られたせいで、青信号に変わったときに自分を含めた周りの人間は高揚感に満ちた顔で異常なスピードにて歩きだしていたし、こんな単純機械の数秒のタメに弄ばれる愚民が悲しくなった
信号機のカウントはどうあるべきか
むしろ、徐々に1カウントあたりの時間は減衰させていってもいい気がする
残りカウント1なんて2秒くらいでいいのでは
ただ、そうなった場合、せっかちな関西人のことだからもうカウント残り3くらいから前傾姿勢になっている気がするので、これも安全上よろしくないのだろうか
なんにせよ、自分の中に確固とした時間の軸があればこんな信号ごときに惑わされなかったので、今後は強く生きようと思った
CMソングのジレンマ
久石譲のSummerは名曲だということには多くの日本人が首を縦に振ると思う
自分の子どもには、この曲を聴いて感傷的な気分になれるように高校生になるまでスマホは与えたくないと思う
中学3年まではとにかく外へ出て、善悪の判断や様々な感性を身をもって感じるべきである
この曲は五感全てに「ステレオタイプな日本の夏」を訴えかける
スマホで養われた乏しい感性でこの曲を受け止めることはできないのである
ただ、恥ずかしながら、自分がこの曲を初めて聴いたのはトヨタのカローラのCMなのであった
この曲を聴くと、日本の夏を感じるとともに、10%くらいはカローラを思い浮かべてしまうのである
その意味で、この曲をCMソングに採用したトヨタを少し恨んでいる
同じく、SuchmosのSTAYTUNEを聴けばホンダのヴェゼルがお台場を駆け抜けるし、くるりのJubileeを聴けば菅野美穂がチオビタ片手に微笑んでくる
最初に聴いたのがCM上であれば、嫌でもCMのイメージに引っ張られてしまうのである
ただ、良い曲であるからこそCMソングに選ばれたわけであり、駄曲であればそもそも採用されない
良い曲であればあるほどCMに抜擢されてしまう
そしてCMのイメージが大衆の頭にこびりついてしまう
これがCMソングのジレンマである
自分が売れないアーティストだったとして、やっと書き上げた渾身の一曲に「東京上野クリニック」からオファーがきたらどうしようかと思う
一応全国的に放送されるCMであるので、名は売れるし、この曲はヒットするかもしれない
しかしヒットしたところで、大衆の頭には「ほうけいのうた」として認知されてしまうのである 俺の 渾身の一曲が
アーティストももしかしたらCMソングのジレンマに苦しんでいるのかもしれない
地元の看板
春なので「桜を見においで」と地元に友達を呼んだ
地元というのは自己が拡大化された象徴であり、そこに遠方の友人を呼べるというのは承認欲求すら満たされる非常に嬉しいことである
吉野山へ行く前に、うちの実家の近所に素晴らしい廃墟があるから案内した
ほんとにもうすぐ崩壊しそうな、普通に危険な廃墟
その道中の商店街にあったのがこの看板であった
俺は何事もなく通り過ぎようとするが、友人たちは看板を見上げ、立ち止まる
「犯罪者の放火への欲望って街側がコントロールできるものじゃなくない?笑」
静岡の磐田出身の友人が変な標準語とイントネーションでつぶやく
あれもしかして馬鹿にされてる?
20年間近くこの街で過ごし、この看板の文言は至極当然のものであると思っていた
放火されない というのは街が街として成り立つ上での最低条件であると
お前らの街かって燃えたら終わりやど!
俺は精一杯反論するが相手にされない
そう、この看板 ちょっとズレているらしい
地域活性には外部の人間が必要であるという意味が改めてわかった気がする
模範的町民の1人である自分はこんな看板の違和感にすら気付かず20年間生きていた
確かに、放火を防ぐため住民側が主体的にすべきことなんて何も思いつかないのである
ただ性善説への執着あるのみ といったところだろうか
いま地元では地域おこし協力隊を卒業した、愛知の方が今年の4月からゲストハウスを開業しました
彼はこの街の色々な違和感に気付くと思います
大淀町民各位 彼に着いていきましょう