毎週文章を書いてアップするのを目標にしようと思う
この3月はそこそこの規模の主担当業務が2件あり、2つまとめて4万字くらいの報告書を書き上げたのだけれど4万字とかでも死ぬかと思った
自分の文章構築能力のなさに愕然としたことも多々あったし、この仕事そのものが文章を書くこと、またストーリーを構築することを求められることがやっとわかってきた
要するに小説家の能力が求められる 俺は江戸川乱歩にならなければならない
書き上げた報告書はそれぞれ100ページを超え、そのずっしりとした重みは我が子を思わせる
この報告書とともに旅に出たくなるほど愛おしい
ただ上司にもかなり手伝ってもらったところもあり、純度100%の我が子ではない
いつか自分だけの、純度100%の愛せる報告書を作れたら、それを枕にして眠りたいと思う
4/7(金)
大好きな近所のバーのうちのひとつ、REHABへ行った
元タワレコ店長であるマスターの音楽知識は相当のもので(自分は音楽知識皆無なのでそもそも音楽知識の評価ができる立場じゃないけれど)、行けばいつも新しい音楽に出会えるし、一緒に誰かを連れて行くとその人の好きな音楽の会話にマスターが合わせてくれたり、その場で流してくれたりする
そしてこのバーの売りは、まず店内にある膨大なレコードの中からその場でレコードを回してもらえることに加え、真空管アンプとスピーカーがマスターの自作で、独特の音質で音楽が聴けることである
自分もメセニーのStillLifeをアルバム通してここで聴けた日は人生で1番美味しいお酒が飲めた気がする
この日はカウンターの端に若い女性2人が座っていて、「聴きたい音楽ありますか?」とマスターが尋ねるが、あんまり海外の音楽がわからない模様
「金曜日の夜って感じの音楽ありますか?」
この突拍子もない返しに苦悶の表情を浮かびながらマスターが選んだのはアース・ウィンド・アンド・ファイアーの「Fantasy」
俺と俺の連れ、そして女の子2人、加えてマスター
全員が薬物をやっているような恍惚とした表情を浮かべていた
幸福だと思った
結局人生ははここに収束するのではないかと思った
4/3(月)
晩にスーパー銭湯へ行った
まぢ日常のクロノス時間だるすぎるから、ここではカイロス時間でいかせてな
4/7の出来事の次に4/3の事象を書くこと これなんの問題も無いでな
洗い場で頭を洗っているとやけに棘のある声が耳に届く
横を見ると大浴槽でおっさんがなにやらうるさい
おっさんの横には若い兄ちゃんがいた
しばらく聞いているとどうやら説教であることがわかる
なんとかわいそうなことに、この若者はスーパー銭湯の浴槽内で説教を受けているのである
当然最初はおっさんへの戸惑いがあったが、途中から若者への同情に変わってきた
この若者も最初は、100数ページの報告書ほどの重さの体重で生まれてきたのだろう(本来は報告書100ページの重さが新生児の体重と同じわけがないけれども、ストーリー性維持のため、平気で現実を捻じ曲げようと思う)
その後いろんな過程を経て、様々な困難にぶつかり、でもそれを乗り越え、仲間とともに前進してきたのだろう
でも彼は「なにわの湯」の人工炭酸風呂(体内に取り込まれた炭酸ガスは全身の血管を拡張し、血液の循環をよくする効果を持ちます。 肌に優しい弱酸性で毛穴を引き締め、湯あがりにはなめらかで潤いのある肌を実感できます。ー引用「なにわの湯」HP)の浴槽内でおっさんに怒鳴られる、この瞬間へと収束してしまった
ああなんとかわいそうな・・・でもこれを機に彼は強くなる
そんなことを思っていたがふと気付く
彼は浴槽内にいる お湯に浸かっている
彼は そんなに不快ではないのではないか?
横のおっさんを見る
ああもうだめだ 薬物をやっている Fantasyを聴いている
説教してる方は最高の気分に決まってるわな
昔、駅員をやっていた時代
駅の運営というのは、1つの大きな主要駅が付近の無人駅などを含めて管轄しているシステムで、この日はその無人駅の1つにおいて、客から「待合室に異物がある」と通報があった
異物ってなんすか? 上司に聴くが、よくわからないという
とにかく行け坂本 処理してこい
俺は覚悟を決めた
爆弾であろうが発情期のグリズリーであろうが、俺が処理する
待合室には人糞があった
無理だ 仕事を辞めようと思った
それはパッと見だと犬糞にも見えなくもない
ただやはり人糞はすぐにわかる
その塊には、地球が生み出した最高傑作「人類」の叡智が詰まっている
そんなものさえ見分けられない奴はもう犬同然
人糞を人糞と見分けられるこの知能によってこそ人糞は定義される
これをEXCELでやると循環参照になるのでやはり人類というのは素晴らしい知能を持っていると思う
さて人糞が待合室にあったのだが、驚いたことに駅にいた客は皆平然としてその待合室の中にいたのである
その日は真夏の猛暑日で、客は「暑さ」と「臭さ」を比較し、自らの健康へ与える影響等を合理的に判断した上で、「臭さ」の方が耐えれるとし、待合室へ留まったらしい
俺は感動した もう少しこの仕事を続けようと思った
なかなかこんな実験できるものではない
そもそも実験であるとしても被験者を人糞と同じ場所に留めるという内容はあまりにも非人道的である
であるのに、ここには奇跡と呼んでもよいサンプルが何人もいた
これだけのサンプルが100%人糞を選択したのだから、この駅周辺の住民へこのサンプルを拡大しても問題ないと思う
いや、やっぱり仕事を辞めようかな
全国の駅の待合室に人糞を置く旅へ出たくなった
やはり地域性がわかりやすいのは大阪と東京を結ぶ東海道線だろうか
東海道中人糞毛(ヒトクソゲ)
これを実行するためなら人生を捧げてもよいかもしれない
大阪では合理的に待合室にとどまる人が多い気がするが、京都へ行けば見栄を張って外へ出る人も多いように思われる
合理性も見栄も備えた東京へ行くと、どうしていいかわからなくなった客が待合室と外の境界で小刻みに震え出すとかいう現象を見ることができるかもしれない
永野芽郁主演 「半分、臭い。」
どちらかに飛び込めないというのも非常に人間的であり、多分それを見ると人類愛ゆえ泣いてしまうと思う
さてそんな、どちらを選んでも苦しい という状況に比べて浴槽内の若者はどうだろうか
説教を受けて精神的には苦しいが、体は快楽そのものである
恵まれているように思えないだろうか
甘えるなよ若者 人生はもっと辛いことがあるんだぞ
でも自分だと浴槽内にいたとしても泣いてしまうと思う
どこまでなら許容できるだろうか
多分ヘッドスパくらいいかないと苦しいと思う
ヘッドスパを受けながらの説教はさすがに気持ち良さが勝つ気がする
いや絶対気持ちいいに決まっている
ただ、なんで美容室でヘッドスパを受けている横で上司がいて俺の欠点を糾弾するのかと、冷静に状況を想定するとやっぱり号泣してしまうかも
この若者がどれだけ辛かったかはわからないけれども、お湯に浸かっていることにより苦しさは低減されたはずである
要するに、ずっとお風呂に浸かっていればよい
ちょっとやそっとのことで心が折れないよう、人生の中でもお風呂に浸かり続けているような状態
これって幸福に生きる上では大事だろうなと思う
中崎町に住んで、人生って色んな楽しいことがあるんだなと再認識した部分がある
人によって何を快楽とみなすかは色々あると思うけれども、人糞か猛暑かの選択を迫られたときも、お風呂に浸かっていればそんなに苦しまないんじゃないかな
でもやっぱりお風呂に浸かっていてすぐ横に人糞があったら泣くかも
だからもう人糞は見たくない