なおやんの 手記手記 しゅっき〜

なおやんの 手記手記 しゅっき~

痛みに耐えて よく頑張った

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人生を変える一打

野球というスポーツ

野球はバットにボールが当たるその一瞬で試合が大きく傾く

3点ビハインドの9回裏に近鉄の北川はバットを一振りしただけで3点差をひっくり返し優勝まで決めてしまった そして彼の人生は一変した

どのスポーツにおいても一瞬一瞬はもちろん大事 しかし野球の一打というものは時に人の人生を大きく変える力を持つ

アジアカップでの李忠成ボレーシュート もしあれが2点ビハインドで3点ボール*1を決めたシュートであったなら今頃彼は日本サッカー界のレジェンドになっていた

 

そして私にも人生を変える一打があった

 

音楽会

通っていた小学校では音楽会というものが年に1回開催された

これは学年全員で課題曲1曲を演奏するだけという素晴らしいイベントである

中学校では合唱コンクールがあったけどこれはクラス別でしかももちろん歌のみ もちろん歌にも上手い下手があるわけで、下手な奴は割と馬鹿にされる 自分がそうであった 昔中耳炎なったことあるから仕方ないやろって怖い言い訳してた気がする

 

しかし音楽会は違う 色んな楽器を選べる 自分の好きなフィールドで輝けるのである ここは先進国大日本

そして私には音楽の才能があった

幼少期から親にわけのわからない音楽を聴かされて育った私の音楽センスは周りの学童を凌駕していた

本田雅人のサックスにジンサクのリズム隊、そしてEarth Wind&Fireの黒人ノリを会得した私に怖いものなどなかった

 

ちなみに幼少期の私がEW&Fのヴァーダインホワイトを異常に怖がったらしく、夜中まで起きてたらヴァーダインホワイトが来るぞとよく親に脅された 当時だからチビるほど怖かったとかじゃない 今でも深夜2時に部屋の隅に彼がいたら発狂するに決まっている 未だにめちゃくちゃ怖い

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楽器選び

ここは精華女子高等学校ではない 楽器の適正など関係ない

では何で決まるか もちろんじゃんけんである もはや精華を超えた実力主義 じゃんけんに負ければ坂本龍一もオール乳歯の小僧にキーボードを譲らなければならない

ではどんな楽器があるのか 思い出せる範囲で書くと、リコーダー、ピアニカ、木琴、鉄琴、キーボード、カスタネット、ボンゴ、コンガ、小太鼓、大太鼓 たぶんこんなもん・・・?

この中で1番の花形はどれか そう 大太鼓である

しかし花形のぶん、責任も重大 他の学年の演奏を聞くと大太鼓のリズムが崩壊している演奏は悲惨であった

ただ小学生は良い意味で協調性がないのか、いくら大太鼓が走ろうが他の楽器陣はおかまいなしにテンポを保って演奏するのである これは大人にはできない芸当

そんな大太鼓だが、小2のとき、奇跡的にじゃんけんに勝って見事に当てることができた

昔からパットメセニーのHave you heardやらFirst Circleやらを聞かされているのである

4分の7拍子でも8分の10拍子でも8分の12拍子でも何でもできる 課題曲はメセニーの曲ではなく童謡だったので難なくこなした

 

そして色んな楽器を完璧にこなし、いよいよ小6となった 最後の音楽会

 

集大成

さあ6年生 曲はアフリカンシンフォニー 他の学年は毎年ころころ曲が変わるが何故か6年生だけはこの曲を演奏するのが決まりになっていた

そしてここで、ある楽器が解禁されるのである 12歳まで生き延びた者にしか演奏が許されない、大太鼓を越える花形「ティンパニ」である

割と意欲的に音楽会に取り組む生徒が多かったため、このティンパニを勝ち取ろうと企てる人間は多かった そして1人しか演奏できない 6年間の学校生活をかけたじゃんけんである

一方で小6の私はそんなものには目もくれていなかった この曲の本当の主役を知っていたからである

それは、、、 ボンゴであるのだ この事実には誰も気付いていない まず曲のジャンルからして絶対欠かせない楽器であり、地味な見た目ながら音は抜け、割と細かな動きがあり、なんならちょっと暴走するくらいでちょうどいいアクセントとなる

ボンゴ希望なんて自分しかいなかった 俺は薄ら笑いを浮かべていた

 

アフリカンシンフォニーの主導権は俺が握った 

 

本番

本番の一週間前に親に手紙を書かされる謎イベントがある

皆思ってもいないことを書く がんばるのでみにきてね 親は本気にするから割と会場は埋まる

そしてこの年だけは本心で、おかん観にきてくれって書いた だって主役やし

本番直前、おかんを見つけた 観ててくれ 生んでよかったと思わせる

 

演奏が始まる 確か頭の一音目からボンゴにも音が割り振られてたと思う

俺のステージが始まる 明日からあだ名がカルロス菅野になるかもしれない 「おはようカルロス」そんな呼びかけに答える朝も素敵かもしれない

 

ボンゴに右手を振り下ろす

 

 

 

クルン

 

・・・?

 

穴・・?

 

 

視界からボンゴが消えた

 

正しくは、見覚えのあるボンゴの姿ではなくなった

 

 

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左右の太鼓の真ん中に留めるネジがある これを緩めることにより、ボンゴを傾かせることができる 少し叩き方を変えたいときなどに有効かもしれない

 

ただこれが全緩みになっていたら?全緩み 全である

 

振り下ろされた右手から伝えられた力は全て右の太鼓に吸収された

打楽器というものは加える衝撃に対して抵抗があるからこそ音が鳴るのである

打楽器としての大前提がまず崩壊した

そして力を全て吸収した右太鼓は当然のごとくその場に留まらない

 

 

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ボンゴを裏から見たことがあるだろうか

 

 

そこには空虚な穴がぽっかりと2つあるだけであった

 

その後の記憶はない 誰かが助けに来てくれたとかもない

もはや楽器としての体をなしていないただの木工作品を前に、12歳の私は何を思ったのだろうか

 

そもそもなぜネジが緩んでいたのか 1~5年生の演奏のときには何もなかったはずである

陰謀だろうか 違う 俺は皆に愛され、そして俺は皆を愛していた

 

 

この一打により、私は音楽への道を絶ち、中学では野球部に入ることとなった

 

中学の野球部の最後の大会ではスタメンにもなれずベンチスタート 途中代打出場するもボテボテのサードゴロに倒れるが、何故か試合後「涙も出~へん負け方やな!」と言い放ち当然のガチギレられ 再び音楽の道へ

 

 

高校では吹奏楽部に

あんま音楽の才能なかった

 

 

 

*1:サルゲッチュ2のドッジサッカーフットサル内でのみ存在する試合ぶち壊し球